My Bloody Valentine【Loveless】
以前,北国に住んでいたことがある。
冬になるとちょくちょく雪が積もるような,そんな街にすんでいた。
この街でやっているのは「雪かき」ではなく「雪下ろし」だ,と言われ,確かに「かく」レベルの作業じゃないなあと,重たくなったスノーダンプを押しながら納得した覚えがある。
雪って寒い時降るのかと思いきや,そんなことはなくて,むしろ雪が降っていないときのほうが意外と寒いと知ったのも,その時だった。
でも,そんな雪の降っていないタイミングを見計らって夜の街を散歩するのが,大好きだった。
そんなときのお気に入りの音楽が,My Bloody Valentineの大名盤,【Loveless】
いわゆる「シューゲイザー」の聖典ともよばれるようなアルバム。
焦点が定まらないボーカル,ふわふわとした浮遊感のあるギターノイズ,まどろみの奥から聴こえてくるようなメロディー。
その雰囲気は,オレンジの街灯が白い残雪を照らす氷点下の夜の街路にぴったり当てはまった。
My Bloody Valentineはアイルランドのバンドと聞くと,なんか納得するんですよね。
きっとダブリンの夜も,こんな感じに暗くて,寒くて,張りつめているんだろうなーと。
行ったことはもちろんないですけど。
今でもこのアルバムを聴くと,あの街の,肌がキンキンに凍ったような夜を思い出すんですよね。
そういう土地の記憶と結びついた音楽って,自分にはあまりないので,今でもとても思い入れ深いアルバムです。
あと,シューゲイザーとよばれる音楽って,やっぱり「冬」ってイメージ,ありませんか?そんなに詳しいジャンルではないんですが・・・。
沖縄とか,ハワイとか,マイアミ発のシューゲイザーって,あんまりイメージわかないですよね。
・・・いや,逆に,そういうバンドって,結構面白いかも。