DragonAsh【Viva la Revolution】
地方の県庁所在地で過ごし,ヒットチャートで話題のアーティストを高校前のTSUTAYAでレンタルする程度の高校生であった自分及び周囲の友人らにとって,Dragon Ashの登場はちょっとした事件だったと思う。
彼らが登場した時期,日本各地で素晴らしいラッパーたちが,クラシックと呼ばれる作品を残していたことは,今となっては知っている。
でも,地方の高校生にとっては,ブッダブランドも,ブルーハーブも,まったく知らない世界の話だったわけです。
そんな高校生にとって,「ヒップホップ」という全く新しい概念を紹介したのが,まさにDragonAshだったわけです。
「陽はまたのぼりくりかえす」やその後のアルバム「Buzz Songs」で僕ら周辺でちょっとしたさざ波を起こしたDragonAsh。
だが,本格的に心をつかまれたのはその後のシングル群だったように思う。
「Let yourself go,Let myself go」「I LOVE HIPHOP」そして「Grateful Days」
そして1999年の夏。
「DragonAshが新しいアルバム出すらしい」という友人らの話を聞き,TSUTAYAでレンタル解禁日を調べ・・・(買わないんかい!というツッコミは無しで)
そしてリリースされたアルバムが,今回の表題「Viva La Revolution」
・・・いやあ,かっこよかった。
何がって,このアルバムの3曲目,「Humanity」ですよ(youtubeで見つからなかったので,ぜひ何かで聞いてみてください)。
部室で友人がアツく歌ってるんです。
「チェケラッチョw チェケチェケラッチョwww」
「チェケラッチョw チェケチェケラッチョwww」
楽曲の途中にあるこのフレーズに,もう心は鷲掴み。
もう部室で,みんなで,「チェケラッチョ」の大合唱ですわ。
・・・いや,今聴くと,ちょっとこっぱずかしい気持ちにもなりますよ。正直なところ。
でも,当時はそんなの関係なかった。こんなフレーズを吐いてもそのカッコよさやカリスマ性が揺るがないところが,当時のDragonAshのすごさだったと思うんです。
そう。友人のチェケラッチョには”w”が語尾についてたけど,kjさんの歌うチェケラッチョの語尾には,確かに”w”なんてついてなかった。
どこまで行っても,純粋で,本気で。
そこが彼らのカッコよさなんじゃないかな。
ちなみに,今このアルバムを聴くと,全然違った印象を持つのもおもしろいなーと思います。
当時ヒップホップそのものと思っていたkjさんのラップも,今聴いてみるとロック的なニュアンスが強く押し出されているように感じる(そして,それゆえの若さや個性が本当にかっこよく感じる)し・・・
あの当時少し退屈に感じていた後半のロックっぽい楽曲の良さに気づいたり・・・
そして,「連帯」とか「世代」を強く打ち出すリリック。
実はそこにこそ,10代の自分たちは惚れていたんじゃないのかなと今更ながら気づくんです。
SZA【SOS】
白鳥は哀しからずや
空の青
海のあをにも染まずただよふ
短歌って,学校の授業では結構さらっと紹介される程度だったけど、この若山牧水の歌は,印象に残っています。
で,本題。
アメリカのアーティスト,SZA(シザ)が2022年末にリリースしたこのアルバムなんですけど・・・
ジャケット,最高じゃないですか!
広大な海原に、ひとりポツンと佇む女性。
失礼ながら、私、SZAのことを特に勉強もせずにこの記事書いています。
でも、きっと彼女はこのアルバムで、孤独とか、満たされなさとか、もしかするとコンプレックスとか,そういうことを歌っているんだろうなと、英語が全くわからない自分でも、想像することができる。
だけど,何物かに追随し,自分を裏切ることはしたくない。
でも,そういう生き方を貫くことへの不安も心のどこかにある。
空の青にも、海の青にも染まらない、白鳥は,孤独を抱えて生きている。
アルバムの中身も素晴らしいんですが、彼女の世界観を一目で表したこのジャケット、ホントに秀逸です。
・・・ここまで書いて、歌詞の中身が全然違ったら、超恥ずかしいですよね。
「私マジ最強,アタイについてこいや!」みたいな・・・。
Nas【illmatic】
アメリカのラッパー、Nas(ナズ)のデビューアルバム、illmatic
「ヒップホップ史上最高傑作!」
「全曲クラシック!」
日本のヒットチャートでもヒップホップがエントリーしていたあの頃、とりあえず洋楽のヒップホップってどんなのがあるのか?と興味を持った中で出会ったのが、上のような煽り文句を冠するこのアルバムだったんですよね。
で、聴いてみて、感じたこと
・・・え?これが??
単調なフレーズが淡々と繰り返されるトラック。
音の上をこれまた淡々とラップしていくNas。
リップスライムとか、キックザカンクルーみたいな華やかで楽しいラップからヒップホップに入った自分にとって、このアルバムはまるで理解できないものだった。
それから結構時が経ち、自分の中で音楽の幅がさらに広がっていっていた頃、何故か気になったんですよね。illmaticのジャケットの少年が。
で、もう一度このアルバムを聴いてみると・・・
あのとき単調に感じていたトラックは、最高のトラックメイカーたちが無駄を削ぎ、練りに練られた作られた最高級品だと感じられ
退屈に感じたNasのラップも、水墨画か枯山水のように虚飾を排し、ただただ本質だけを伝えようとする、いわゆる「リアル」なラップであることに気付かされた。
(なお、このときの彼はまだティーンエイジャーだったとのこと。マジか)
そうか、あの時は自分にillmaticを理解するだけの何か足りなかったのか。
そして面白いのは、このアルバムを少し理解できるようになってから、自分の音楽の幅が(ヒップホップに限らず)グッと広がっていった実感が得られるようになったこと。
illmaticはリリックのシビアさや、押韻の巧みさとかがクローズアップされることも多く、英語の理解力が平均的日本人レベルかそれ以下しかない自分が理解した!などと言うのはおこがましい。
でも、このアルバムから感じる殺風景な光景や、ストリートのリアルとかいうやつや、そこに反して広がる豊かな音楽的魅力は、ヒップホップ史上最高傑作という謳い文句を十分に感じ取れるものだと思っています。
・・・今でも理解できない音楽は山のようにある。でも、名作、名盤と言われるものには十分な理由があるし、それを理解できたとき、もっと豊かな世界が広がっている。
自分は別にヒップホップの大ファン、というわけではないけど、Nasのillmaticは音楽の楽しさや奥深さを語るうえでは、外せないアルバムなんです。
初投稿
はじめまして。
那村といいます。
2023年,ブログを書いてみたいと思います。
飽きっぽい性格のため,どこまでいけるのかはわかりませんが・・・。
どこにでもあるような,地方在住。
楽しくないことや,愚痴っぽいことは,できる限り書かないように。
せめてここでは,楽しい感じで。
音楽のこととか,酒のこととか,いろいろ書くことができれば。
地方の人間でも,好きなものに触れて生きていける時代に感謝。
よろしくお願いいたします。