Lil Yachty【Let's Start Here】
アルバムというフォーマットが古くなっているとかなんとか言われることが多い時代ですが,やっぱりアルバム一枚を通じて「自分の世界観」を表現しようとするアーティストが好きなんですよね。
そういう意味で,今年一番気に入っているのはこのアルバム。
Lil Yachty(リル・ヨッティー,と読むらしい)の新作,【Let's Start Here】
サイケデリックだったり,シティポップっぽかったり,(詳しくないジャンルだけど)プログレっぽかったりと,ヒップホップの枠をはるかに飛び越え,多様なジャンルの音が自由自在に,かつダークに打ち込まれていく。
多様な音楽が展開されているようだけど,ある種の気持ちよさは一貫していて,車の中でぼんやりとこのアルバムの音世界に引き込まれていくんですよね。
アルバムってこういうことができるから楽しいし,こういうアルバムを見つけたら最高に嬉しいから,この年になってもアルバムを自分なりのペースで漁っているんだよと,いろんな人に伝えたくなる。
そんなアルバムを聴く魅力にあふれた1枚だと思います。
たぶん今年一年振り返った時,「名盤」として扱われていくんじゃないかなあ。
乃木坂46【透明な色】,そしてクルマと音楽の話。
前の記事で車のことを書いたので,また少し車の話を。
以前どこかで,90年代のアメリカにおける西と東のヒップホップの違いは,車社会か否かによって生み出されていたと書かれているものを目にしたんですよね。
確か,西海岸は車社会なんで,車で聴くことを想定した音楽になっているとか,何とか。
確かにこの辺の曲は,夜車を流しながらのんびり聴きたい感じ。
ドライブミュージック,とも言ったりするくらいだから,
クルマと音楽って,切り離せないものだと思う。
で,本題。
乃木坂46の表題のアルバムを車の中で聴いていたとき,気づいたことが。
・・・あれ?ロードノイズにも関わらず,はっきりと歌が聞こえてくる・・・気がする。
あくまで気のせいなのかもしれないけど,もしかして,車の中で聴かれることを想定した上で,音をアレンジしていたりするのかな?
でも,そもそもそういう音の作り方って,できるんだろうか?
そうしているのであれば,乃木坂は車に乗る地方の人たちをファン層に想定しているとか,そういうことなんだろうか?
いや,もしかしたらロードノイズだけでなく,ジャケ写のような駅で聴こえる音作りをしているのかもしれないけど・・・。
まあとにかく,よければ車の中でこのアルバム,聴いてみてください。
果たしてロードノイズの中で聴こえやすいのか,そうでないのか。
信じるか信じないかは,あなた次第,なのかも。
Herbie Hancock【Head Hunters】
apple musicによると,2022年に私が最も聴いた曲は,Herbie Hancockの名盤「Head Hunters」の1曲目「Chameleon」だったらしい。
あー,確かに,朝の通勤時,ずっとこの曲を聴いていた時期があった。
今年度は年度初めに予想外の仕事が入って,入りからかなりつまづいたのだが,その後7月にコロナに感染し,予定が大幅に狂うなど,11月くらいまではかなり忙しい日々を送っていた。
仕事場まで車で10分かかるか,かからないか。
本当は職場との距離がもう少しあったほうが,気持ちをうまく切り替えられるんだけど,それは仕方ない。
そんな時間の枠の中で,仕事モードに切り替えられるのが,この曲だった。
同じようなメロディーやリズムが延々と繰り返されているように思いきや,実際は少しずつ変化しながら盛り上がり,最後は気持ちよく終わっていくという展開が,仕事が面倒くせえなあと思いを持ちながらも,少しずつ仕事モードに入っていき,最後は「今日もぼちぼちやりますか」という状態に持っていく,という自分の心模様と実はマッチしていたのかもしれない。
そういえば,一番仕事がだるかった8月後半から10月くらいに一番聴いていた気がするし。
でも,この曲をそういう風に使っている人って,あまりいないのかも・・・。
普通なら,仕事後家に帰ってゆっくりハイボールでも飲みながら聴くのが一番いい音楽な気がします。
My Bloody Valentine【Loveless】
以前,北国に住んでいたことがある。
冬になるとちょくちょく雪が積もるような,そんな街にすんでいた。
この街でやっているのは「雪かき」ではなく「雪下ろし」だ,と言われ,確かに「かく」レベルの作業じゃないなあと,重たくなったスノーダンプを押しながら納得した覚えがある。
雪って寒い時降るのかと思いきや,そんなことはなくて,むしろ雪が降っていないときのほうが意外と寒いと知ったのも,その時だった。
でも,そんな雪の降っていないタイミングを見計らって夜の街を散歩するのが,大好きだった。
そんなときのお気に入りの音楽が,My Bloody Valentineの大名盤,【Loveless】
いわゆる「シューゲイザー」の聖典ともよばれるようなアルバム。
焦点が定まらないボーカル,ふわふわとした浮遊感のあるギターノイズ,まどろみの奥から聴こえてくるようなメロディー。
その雰囲気は,オレンジの街灯が白い残雪を照らす氷点下の夜の街路にぴったり当てはまった。
My Bloody Valentineはアイルランドのバンドと聞くと,なんか納得するんですよね。
きっとダブリンの夜も,こんな感じに暗くて,寒くて,張りつめているんだろうなーと。
行ったことはもちろんないですけど。
今でもこのアルバムを聴くと,あの街の,肌がキンキンに凍ったような夜を思い出すんですよね。
そういう土地の記憶と結びついた音楽って,自分にはあまりないので,今でもとても思い入れ深いアルバムです。
あと,シューゲイザーとよばれる音楽って,やっぱり「冬」ってイメージ,ありませんか?そんなに詳しいジャンルではないんですが・・・。
沖縄とか,ハワイとか,マイアミ発のシューゲイザーって,あんまりイメージわかないですよね。
・・・いや,逆に,そういうバンドって,結構面白いかも。
砂原良徳【LOVEBEAT】
ここ数年,自分にとってのバイブルであり,般若心経ともいえるのが,この2冊。
ストレスで潰れそうなときや,心のモヤモヤが解けないそんなとき,この本の中にある,なんちゃってヨガをすることで,何度となく救われてきた。
結局,心の在り方は,身体の在り方ひとつなんですよね。心は自由に調節できないので,身体を調節することで,心の在り方を変えることを心がけています。
部屋の一室を真っ暗にして,ヨガマットの上で身体を重力から解放しながら,ぼんやりとヨガ。
ただ最初のころは,無音でやってたんですけど,それでは何か物足りない。
仕方がないので雨音とか自然の音を流しながら取り組んでみたものの,何か違う。
そのうちたどり着いたのが,このアルバム。
砂原良徳【LOVEBEAT】
走ったことはないが,真夜中の首都高速のような音楽,とでもいえばいいのか。
穏やかで,無機質で,どこか優しい音楽。
ネットのレビューではドバイの街のような音楽とあってなるほど!と思った。
もちろんドバイに行ったことはないですが・・・。
海や山がよく似合う本場のヨガではない,なんちゃってなヨガには,こういう音楽のほうがあっているということなのかもしれない。
ただ,毎回15分くらいでなんちゃってヨガは終わってしまうので,このアルバム,なかなか通しで全部聴けてないんだよな・・・。
Oasis【ネブワース1996】
もう、本当にありがちな話。
洋楽の魅力にハマったのはOasisからだった。
彼らの2nd「MorningGlory」は、聴いたことのない人がある意味羨ましい。こんな名曲しか入ってないアルバム、滅多にないですよ。
聞いたことのない人は、こんな文章読んでないで、とりあえず聴いてほしい。いや、ホントに。
もちろん今でもOasisは好きですよ。
その一方、2020年代になっても、Oasisネタでキャッキャ言ってるのはどーなの?と、ずっと思ってた。
やれリアム(弟、ボーカル)がOasis再結成にああ言っただの、ノエル(兄、ギター)が話題のセレブにこう言っただの、やれ二人の関係が改善しただの、あれやこれや。
別に新しい音楽や若いアーティストたちが素晴らしいと言いたいわけではない。
でも、2020年代にOasisを熱く語ることって、今に背を向けるような行為に見えて仕方なかったんです。
え?まだそんな昔のことで盛り上がってるの?みたいな。
だからこそ、Oasis伝説のライブ、ネブワースが映像化される!と聞いても、興味はあれども、実際観ようとは思えなかった。
いや、もう2020年代やで。
まあ、でも、ネブワースのライブアルバムがApple Musicで聴けるみたいだし、ちょっと聴いてみますかね。
・・・はい、ごめんなさい。
やっぱりOasis、最高っす
みんな言ってるが、特にボーカル、リアム・ギャラガーの声!
しゃがれているのに、美しい。その全盛期のボーカルを収めたこのアルバムは、それだけで本当に価値があると思う。
我慢ならなくなって、即ブルーレイ購入ですわ。
我が家にジャニーズ以外のライブDVDが来る日がくるとは、思ってもなかったです。
自分がOasis聴いたのって、2000年代初頭。彼らの活動のわりと後期からなんですよね。
でも、リアルタイムでこんなヤバいライブ見せられたら、20年経ってもOasisOasis言いたくなる気持ちもちょっとわかる気はした。
Oasisってどれくらい魅力あるバンドなの?と聴かれたら、20年経っても、50前後の中年兄弟にキャッキャウフフと言いたくなるくらいの魅力があるバンドだと、これからは胸をはって言いたい。
なお、以下は兄のノエル・ギャラガーが来日した時の動画。
「ファッ#ンデカい家」は我が家の昨年度の流行語大賞にノミネート。
グッズを節操なく勧めるノエルのドヤ顔も、見所。
イギリス本国では、この人、どんな立ち位置なんだろう?
タッキー&翼【夢物語】
突然妻が,「タッキー&翼の“夢物語”のPVがヤバい」と言ってきた。
しかも,彼らのPV集をどこかからゲットしてきたとならば,見るしかあるまい。
・・・うわぁ,チャラい・・・
彩度をバキバキに上げた映像。
冗談のようなギラギラの衣装で踊る様は,まるでホストクラブの生誕祭。
(youtubeでも1分くらいの映像が見られるので,是非)
振付もまた,チャラいのなんの。
最初は笑いながら見ていた夢物語のPV
でも,何度か見ていくうちに哀愁,というか,切ない思いが芽生えてきた。
この時の2人はまだ20歳そこそこ。
タッキーは周知のとおり,その後ジャニーズの経営者側に回った。
経営者側としてのしがらみや,苦しみも背負ってきたのだろう。
そして去年,突如事務所を退所した。
翼くんもその後,病に苦しみ,休業を余儀なくされる時も経験した。
“夢物語”のPVは,自分も,おそらく多くの人が若いころに抱いていたであろう,妙な「無敵感」を象徴しているように,今の自分には思えてきてしまう。
でも,その無敵感も長続きしない。
あの頃の大言壮語も,現実の前ではフェードアウトしていき,自分のなりたかった自分からは少しずつ離れていってしまう。
気づいたときは,まさにあの頃の時代は「夢物語」になってしまったのかもしれない。
若い時ってもっとチャラくて,オラオラでいいじゃないか,と最近思う。
下手に遠慮してたって,どうせいつか現実にぶつかるんだったら,なおさらのこと。
そう,PVで最高にチャラついているタッキー&翼は,最高にカッコいい。
でも,一番カッコいいのは,現実を知り,苦しみながらも,それでも前に歩き続けている二人なのかもしれない。
なんだかんだで同年代なんで,応援したいんですよね。